名称の由来

叔羅川は、現在福井県を流れる日野川と思われます。
名酒の会と叔羅川の歴史
名酒の会は、平成元年に越前市(旧武生市)の酒好き仲間十数名にて立ち上げた日本酒愛好会。全国各地の地酒を取り寄せてのきき酒会や、県内の酒蔵見学会などを開催し日本酒についての見識を深めるなか、平成7年に「自分たちの日本酒」をという思いから、会員でもあり福井県認定農業士伊藤弘文氏のもと酒米作りから取り組み、福井市の銘醸雲乃井酒造の協力を得て生まれた、日本で初めてのこころみの「田植えからこだわる」自分たちの酒「叔羅川」を造り上げました。
令和5年度までの約30年間、福井県を代表する酒米「五百万石」と、名酒の会が北陸で初めて栽培に成功した「山田錦」を今立郡池田町の田んぼで無農薬にて栽培し、この酒米を酒蔵「雲乃井」に持ち込み、単独精米にて丹念に60%まで磨き、吟醸系9号酵母にて「純米吟醸酒」に醸してきました。
約30年間続けてきた酒米造りと醸造ですが、伊藤氏の高齢による引退、雲乃井酒造の設備の老朽化等の要因にて、継続が困難となりました。令和6年度は、かねてより醸造委託交渉しておりました「越の鷹・伊藤酒造」の協力を得て、越前産酒米「越の雫」を用い、福井酵母で純米吟醸に醸すこととなりました。醸造においては、これまで同様の小仕込みで、搾りには槽を用い、熟成・瓶詰めも同様の原酒生詰めとします。名酒の会の思いである自分たちの酒造りの信念を守り「越前の食文化に合う伝統酒」をこれからも目指していきたいと思います。次年度以降「さかほまれ」「山田錦」「五百万石」の醸造も予定しております。

叔羅川商品一覧
叔羅川 冷蔵熟成 純米吟醸生原酒
もろみを槽でゆっくりと搾り、オリ引き後、斗瓶に囲い、冷蔵熟成しています。
2月からの「しぼりたては生原酒」フレッシュな酒粕の甘い香り。
「冷蔵熟成生原酒」は徐々に角がとれたまろやかな味わい。夏場はロックもおすすめ。
叔羅川 越の雫 純米吟醸生原酒
叔羅川 火入れ 純米吟醸原酒
しぼりたての生原酒を火入れ後、蔵内にて冷暗熟成、随時原酒を生詰めにて出荷します。
5月より「初呑み切り原酒」、ひと夏を越えて9月より「ひやおろし原酒」、翌年1月より「壱年熟成原酒」と熟成による味わいの変化をお楽しみください。
叔羅川 越の雫 純米吟醸火入れ原酒
商品の概要と蔵元
- 名 称:叔羅川(しくらがわ)
- 種 別:純米吟醸原、酒純米吟醸生原酒
- 醸 造 蔵:伊藤酒造合資会社(福井市江上町)
- 杜 氏:伊藤康晴(社長杜氏)
- 原 料 米:越の雫、さかほまれ、山田錦、五百万石 ☆6年度醸造は越の雫
- 精米歩合:60%
- 仕込み水:地下水(硬水)
- 発 売 元:リカーマーケットさかえや(福井県越前市)
- 企画管理:村上栄樹<日本ソムリエ協会公認シニアソムリエ・きき酒師>

叔羅川の醸造蔵元、越の鷹伊藤酒造

伝統的な槽を用いた搾り(粕歩合が高く雑味が少ない)
酒米と酒質
福井県農業試験場にて、昭和63年兵庫北錦(♀)×美山錦(♂)の人口交配開始から始まった、耐病性にすぐれ、背丈も余り高くない 大変優れたお米。福井県でのみ栽培され、県内の酒蔵で多く使われています。純米酒から大吟醸酒まで、穏やかな香り、芳醇でキレイな酒質に仕上がります。叔羅川越の雫純米吟醸は、この特性を生かし、控えめな吟醸香、深みある味わいとキレで、おろしそば、越前ガニ、焼きガレイなどにとてもよく合います。
「山田錦」とJAテラル越前が育成・品種登録した「越の雫」の交配品種で、「山田錦」よりも倒伏性、脱粒性、穂発芽性が改善されている。福井県でのみ栽培され、県内の酒蔵で多く使われています。山田錦同等の特性を持ち、主に大吟醸酒から純米吟醸酒に使用されます。華やかな香りと芳醇な味わいで、食前酒として、また越前の海の幸にもとてもよく合います。
山田錦は、兵庫県丹波地方特産の酒米、晩稲で背丈が高く雪国での栽培はとても困難ですが、酒造りには最も適しているといわれ、特に高精白に適し大吟醸、純米吟醸で華やかな香り、爽やかなキレ味をみせます。北陸においては、私ども名酒の会が福井の地にて最初に商用栽培に成功しました。
叔羅川山田錦純米吟醸は、この特性を生かし、やや濃醇ながら爽やかなキレと喉ごしは、食前酒にも。越前ガニ、甘えび、刺身、おろしそばなどにとてもよく合います。
五百万石は、福井県特産の酒米として全国の酒蔵で使用される酒造好適米で特に純米酒、純米吟醸酒で芳醇でやわらかな味わいの特性を発揮します。
叔羅川五百万石純米吟醸は、この特性を生かし、やわらかな口あたりながらどっしりと力強く、おろしそば、へしこ、煮物などにとてもよく合います。
瓶詰と発売時期
【しぼりたて無濾過生原酒/2月~】
しぼりたてを生で原酒のまま瓶詰します。
荒々しくフレッシュな味わい。完全に生ですので冷暗所に保管してください。
冷蔵庫のチルドルームで半年、1年と熟成させるのも楽しみのひとつです。
オリがわずかに残ることもあります。。
【初呑み切り原酒/5月~】
呑み切りとはタンクの「呑み口を切る」という意味で、酒の熟成具合を初めてきき酒をするという酒蔵用語に由来します。
しぼりたてを発売後、火入れし、タンクで熟成中の酒を、原酒のまま生詰めで瓶詰めします。
しぼたてのころの荒々しさが薄れ味わいが調和されてくる頃です。
【冷蔵熟成生原酒/5月~】
無濾過生原酒を取り置き斗瓶で氷温熟成させます。
順次瓶詰めします。要冷蔵です。
冬場のしぼりたてとはまた違った熟成感をお楽しみください。
【冷や卸し原酒/9月~】
日本酒は本来厳寒に仕込み、火入れの後、涼しい酒蔵でひと夏を越し熟成し秋になるとまろやかでキレが良い酒となります。
このことを蔵人は秋上がりとか、秋晴れと言います。
このときに原酒のまま生詰めしたものが冷や卸しと呼ばれ昔から、涼しくなる秋口に出荷され、酒通が心待ちにするお酒です。
しぼりたての頃、初呑み切りの頃の味わいと比べてみてください。
【一年熟成原酒/1月~】
火入れ原酒を斗瓶にて冷蔵熟成し、随時原酒で生詰めします。
本来吟醸酒は、一年以上の熟成にて真価を発揮します。
歳月とともに熟成されるまろやかなコク、穏やかな香り
日本酒の粋を味わってください。在庫限り。
叔羅川物語
平成8年 能登印刷発刊 北陸の地酒50撰 編集委員コラム)
